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筋の形

一般的に筋の形状は大きく分けると紡錘状筋(例:長掌筋)と羽状筋(例:長腓骨筋)に分類されます。それぞれの筋形状には解剖学的及び機能的な特徴があることが知られています。
 紡錘状筋は筋の長軸方向に対して平行な筋線維配列をしており筋線維長が筋の全長とほぼ等しくなっています。そのため筋線維の総数は羽状筋よりも比較的少なく線維長は長いです。
 羽状筋は筋束が筋の長軸方向に対して斜方向に配列しているため筋線維は筋の全長より短く、また筋線維数は紡錘状筋よりも比較的多く配列できます。
 機能的な観点では紡錘状筋は速い収縮速度を要求される筋に多く、より大きな距離にわたって短縮する事が出来ます。羽状筋はより大きな力発揮を要求される筋に多く配置されています。


 羽状筋は筋束が腱に対して羽状角といわれる角度をもって付着することによって、紡錘状筋(平行筋)に比べて生理的横断面積を増加させるのに有効な形状となっています。そのため大きな筋張力を発生させることが可能となっています。
筋線維が長軸方向に発揮した力が筋張力として腱に伝えられるときにこの筋束傾斜が影響を及ぼすことが知られています。生理的筋横断面積のみならず、このような筋の形が筋力発揮特性を左右するとされています。


三角筋の形態からみた肩関節運動の検討

 本研究では, 多羽状筋と言われる三角筋の構造を形態学的に調査することにより, 本筋が起こす肩関節の運動方向を検討した。ヒトの三角筋14筋を用いて, 腱構造や筋線維走行などを調査した。その結果, 中部線維は複雑な馳構造をしており, その構造により本筋を3型に分けた。起始腱4本, 停止腱5本の型が8筋と最も多く, 全筋で停止腱は起始腱より1本多かった。この起始腱と停止腱は中部線維内で交互に楔形状に位置しており, その筋線維は起始腱から停止腱へと螺旋を描くように走行することで多羽状を形成していた。前部および後部線維の筋線維束は比較的平行に走行し, 三角筋粗面まで及ばず停止腱に付着していた。これらの結果から, 中部線維の各走行部分が個別に作用すれば, 肩関節の外転運動のみでなく回旋運動などにも関与することが示唆された。


肩関節屈曲運動の主動作筋は三角筋前部線維及び大胸筋鎖骨部線維であるが、運動学的解釈を行うとそれ以外の筋も肩関節屈曲運動に関与する可能性がある. 本研究では表面筋電測定可能な三角筋中部線維に着目し、三角筋前部線維や大胸筋鎖骨部線維との肩関節屈曲における役割及びその分担を検討した. 結果、肩関節深屈曲域において三角筋中部線維は同筋前部線維と共同して肩関節屈曲運動の主動作筋となりうる可能性が示唆された. また大胸筋鎖骨部線維は肩関節初期屈曲域における屈曲作用のみでなく、肩関節深屈曲域において三角筋中部線維と共に肩関節屈曲運動を成立させる共同筋となりうる可能性も示唆された.


肩関節屈曲90°までは屈曲運動の主動作筋である三角筋前部線維が上腕骨の方向を決定して積極的に屈曲保持を行っていると考える。肩関節屈曲120°を越えると前部線維以外にも中部線維と後部線維の筋活動が増大する。中部線維は筋線維方向から屈曲方向にも関与すると考えられるが、後部線維に関しては筋線維方向を考慮しても屈曲方向に関与するとは考えられない。肩甲上腕リズムによると肩甲骨は肩関節屈曲60°以降で胸郭面上を上方回旋するため関節窩が前額面に一致しようとする。その結果、屈曲角度の増加に対して三角筋前部、中部、後部線維が協調的に活動増加することで骨頭は関節窩に支点を得て安定した屈曲保持が可能となると考えられる。

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