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腹部の浅筋膜

 皮下筋膜は前腹壁では柔らかくて可動性があり、脂肪も相当に含んでいます。上方は胸郭の皮下筋膜に続き、下方は大腿と外陰部の皮下筋膜に続く。外側方では背の筋膜に移行していくので、次第に固く強くなってきます。臍より下方では、筋膜の浅層と深層とが解剖によって容易に分離できます。この一般にはみられない分離性の他にもこの筋膜は特色をもっているので、この領域の2層はキャンパー筋膜 camper's fascia とスカルパ筋膜 scarpa's fascia という名がつけられています。



皮下筋膜の浅層は純粋な脂肪層に他ならない。太った個体では数cmの厚さがあり、このような場合には不規則ないくつかの層に分かれていることがある。この層は鼡径靱帯を越え、大腿のこれに相当する類似の層に連絡している。男性では、陰茎や陰嚢に続いていくと、脂肪を失って深層と癒合し、肉様膜と呼ばれるこれらの器官に特有な筋膜の形成に参加する。女性の場合では、大陰唇に連続していくが、脂肪はいくらか保存されている。男女ともに、この筋膜は外陰部と大腿との間の溝を後方に伸びて、会陰と大腿内側面の皮下筋膜の浅層に続く。

 皮下筋膜の深層は、普通、ごくわずかの脂肪組織を含むか、あるいは全く脂肪組織を含まない膜状の層である。かなりの部分では、黄色の弾性線維からなっていて、おそらく、ある種の下等動物における腹部内臓や鼡径部の乳房を支持する弾性層である腹壁膜に相当するものである。皮下筋膜の深層は正中線を横切る連続的な膜になっていて、正中線では白線と結合している。上方及び外側方では、上腹部と背部との皮下筋膜に続き、特別な層としての固有性を失ってしまう。下方では、鼡径靱帯の上を通り、その靱帯と強く結合するか、あるいは大腿筋膜と強く結合している。靱帯の下方では、この筋膜が伏在裂孔を覆ってそこを満たし、篩状筋膜と呼ばれている。鼡径靱帯の内側端ではこの筋膜が靱帯と付着せずに浅鼡径輪を越え、陰茎や陰嚢の筋膜に続いている。陰嚢(大陰唇)と大腿との間の溝に沿って会陰に続く皮下筋膜の深層は、会陰ではコーレス筋膜と呼ばれる。皮下筋膜は陰嚢と陰茎の皮膚の下では、2層が癒合して1層となっていて、肉様膜と呼ばれる。この部では浅層が脂肪を失い、さらに筋膜には皮膚に達する平滑筋線維が散在するようになる。したがって陰嚢や大陰唇の皮膚にはヒダあるいはシワがある。恥骨結合の正中部で、皮下筋膜の深層は多くの固く強い線維束が加わって厚くなり、陰茎背や陰茎の両側に伸びて、陰茎ワナ靱帯を作る。
 外腹斜筋の腱膜の下部を覆う深筋膜と皮下筋膜(スカルパ筋膜)の深層とを隔てる筋膜隙は極めて明瞭で、会陰における同様の筋膜隙と連絡するため臨床的に非常に興味深い。この筋膜隙は、上方では臍の方に向かって深筋膜と皮下筋膜の深層とが癒着し、外側では外腹斜筋の筋線維の部分で両者が固く癒合している。また下外方では鼡径靱帯における付着部かそのすぐ下の大腿筋膜への付着部により堺される。しかし、鼡径靱帯の内側部と浅鼡径輪との部では2つの筋膜が癒着せず、そのために筋膜隙は陰嚢(大陰唇)と大腿との間のせまい溝に沿って走り、皮下筋膜(コーレス筋膜)と外会陰深筋膜との間の筋膜隙に続く。この溝から内側では、陰嚢と陰茎との非常に可動性のある肉様膜の下にある筋膜隙に続くが、外方では大腿内側の内転筋が起こる恥骨枝を覆う深筋膜に付着することによって、筋膜隙は急に消失する。太った人では、筋膜隙とスカルパ筋膜の深部に向いた面との間に脂肪組織の蓄積があることもある。浅腹壁動静脈や浅腸骨回旋動静脈はキャンパー筋膜とスカルパ筋膜との間にあり、スカルパ筋膜の表面に付着している。

| 筋膜とは | 16時15分 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑















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