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筋膜

 人体の筋膜とは、皮膚の下の体を包む、線維組織性の薄膜であると表現することができます。またそれは、複数の筋肉や、それらの筋肉群のグループを包み、筋肉のいくつかの層やグループに分離します。腱膜は、線維状のシート、あるいは腱の伸びたもので、筋肉線維とつながり、扁平な筋肉の起始部や挿入部の媒体となる役割をもちます。ときには、他の筋肉に対する筋膜の役目を果たすこともあります。腱は、線維でできた紐状あるいは帯状のもので、筋肉を骨や他の構造物につなげます。腱は密に束ねられた膠原線維と、腱細胞、そしてわずかな細胞間質物質からなります。
 人体の筋膜には、筋肉につながる延長接合部のほかに、感覚神経終末が備わっており、また収縮する性質とともに、弾性的な性質をもつと考えられています。筋膜には、バランスの維持を補助する役割があり、身体を支え、安定させています。また動きを作り出したり、コントロールしたり、関連部分の動きを協調させることにも一定の役割をはたしています。多くの身体の筋膜は分化し、姿勢を保つ機能を果たしており、その機能の中で、ストレス帯を実証することができます。最後に、中枢神経系を包む特別な結合組織が硬膜です。この組織の骨の付着部は、頭蓋と仙骨にあります。
 人体の筋膜は、浅筋膜、深筋膜、漿膜下筋膜に分類できます。浅筋膜と深筋膜の層は、完全な被膜として体中のどこでも見られます。漿膜下筋膜は、体腔のある深層であればどこであれ、その深層に接した最深部に見られます。3種の筋膜の中では、深筋膜層が最も複雑であり、介在する隔壁によって2層になっています。
 臨床的には、このような包みこみを、体の「大きな包帯」と見立てることも可能です。このような比喩は、オステオパシー文献に示されています。また、文献の中には結合組織からなる枠組みを残して、人体からすべての組織が取り除かれたとしても、人体はその形態をとどめる、という考えを述べたものもあります。これがもし本当であるのなら、構造から身体の運動性を考察することができる、ということも理にかなっています。この筋膜の配列と連続性と、構造‐機能の相互関係を考察すれば、マニピュレーション治療にかかわる、筋膜の生体力学的属性を論じることが可能になるのである。


頭蓋仙骨治療より 

 筋膜は胎生学的には中胚葉から発する結合組織です。それは膠原線維と弾性線維から成っています。線維芽細胞と線維細胞が常に存在しています。筋膜は力学的平衡状態にあります。
 膠原線維は光る様な白色です。それらは電子顕微鏡で見ることのできる網状線維より成っています。これらの膠原線維は筋膜、腱、靱帯を形成しています。膠原線維は柔軟でとても丈夫ですが、ほとんど伸展性がありません。
 弾性線維は引き伸ばせます。それにかかる緊張によって厚さと長さが変化します。それは小さな線維というよりも均一なタンパク質から成っていることが知られています。
 「弾性膠原質複合体」と我々が呼ぶ1つのユニットが筋膜の収縮性の原因であることを電子顕微鏡は示しています。このユニットが刺激されるのです。それは筋膜の収縮、弛緩能力を発揮するメカニズムとして働きます。それは筋膜のトリガーポイントにも関係しています。我々の主張する「弾性膠原質ユニット」において、弾性線維が核となります。膠原物質が弾性線維のまわりを巻きついています。膠原線維と弾性線維は、「弾性膠原質複合体」の端で共通の付着部を有しています。
 「弾性膠原質複合体」の支配神経は、知覚と運動覚の両方です。複合体が膨張の限界に達した時、伸長刺激は痛覚とともに反射的弾性収縮を生じます。
 液体から固体まで成分が変化する間質物質が筋膜に存在しています。この物質は体内の代謝産物を運びます。(我々はここで同化と異化の物質両方を指しています)
 我々独自の研究と、イスラエルのハイファにある技術研究所の生物工学科教授のズヴィ・カルニ博士との協同研究に基づいて、筋膜は電気伝導能力を持ち、筋膜の収縮はその電気伝導係数を妨害しうると提案します。局部的痛みと組織の活力喪失が結果として引き起こされます。
 筋膜はとても密度の高い線維性のものから疎性、弾性、輪紋状又は網状の線維まで性質が多様です。とても組織化された線維組織が腱膜、靱帯、腱です。これらの線維は概して非弾性的です。それらは一方向への大きな伸張と引っ張り歪みに耐えうると同時に、依然として柔軟性を残してる。バラバラになった密度の高い線維組織は、組織化された腱膜、靱帯、腱の様な平行な線維というよりも、膠原線維が織り合わさったようになっています。バラバラになった密度の高い線維組織は、大部分の筋膜、皮膚の真皮、器官の被膜や骨膜を形成しています。これらの組織はいかなる方向への強い伸張緊張にも耐えうる。この性質において、それは一方向のみの伸張に最も抵抗する組織化された密度の高い線維組織とは異なります。後者の組織は線維の方向と直角に伸張されると容易に裂けてしまいます。
 機能面からみると、体の筋膜は1枚の連続的な薄い板状の結合組織であると考えられることができます。この薄い板は頭頂から足の先まで間断なく伸びています。筋膜は内臓、内臓腔、筋肉、骨構造の存在を許容するポケットを有しています。それは中枢神経系、脊柱及びその関係構造が通過する同心円状に位置する管を有しています。筋膜はその役割に応じてその性質を変えます。

 
 筋膜器官を人体のあるところから別のところへ筋膜を離れることなく行ける迷路と考えることができます。上端において、多くの筋膜層が頭蓋骨に付着しています。従って、筋膜を引く筋肉は頭蓋仙骨系の機能に影響を与える。
 筋膜の連続性を通して、筋膜の収縮又は浮腫を生じる損傷は頭蓋仙骨系に影響を与えうる。これは中枢神経の機能障害を起こしうるし、順次、奇妙でほぼあり得ない様な臨床上の結果を生じうる。
 我々のアプローチは筋膜の連続性とわずかな可動性の概念に基づいています。筋膜層は体全体で正常な動きがあり、優しい牽引に反応するはずである。損傷又は臨床上重要な変化は筋膜の非可動性を生じる。生物学的機能障害の原因を見つけるため、これらの非可動性の部分を慎重に探さなければならない。我々が「筋膜の抵抗」と呼ぶ筋膜の非可動性は、頭蓋仙骨系の非対称的又は不自然な動きとして大抵現れる。
 筋膜に関して学ぶべき教訓は、筋膜が連続していること;各臓器は胎生学的発達の過程において自己の筋膜を備えていること;わずかに可動性のある結合組織器官であること;機能障害または損傷が局部的な筋膜の可動性を減少させること;筋膜の可動性の喪失が筋膜系に抵抗を生じ、それが頭蓋仙骨系の生理的動きに異常な変調として現われることなどである。この変調は診断、治療、予後に利用しうる。


筋膜の役割
 筋膜はわずかに動き、頭から足先まで途切れることなく、体の構造と内臓のすべてをそのポケット(層の間)に収める結合組織性の層状の鞘であると考えてもよい。このことを念頭におくと、ある特定の区域でこの組織の可動性がないということは、可動性の欠乏を起こしている疾病プロセスを見つける上で利用しうることが明らかとなる。何らかの方法、おそらく神経系によって、この筋膜系は頭蓋仙骨のリズミカルな動きに応じて一定の動きが保たれている。直接的な結合と共通の骨性の固定によって、硬膜外の筋膜と髄膜は、それらの動きにおいて相互に依存する関係にある。したがって、筋膜の可動性または制限を検査することから得られる診断と予後に関する情報量は、検者の触診の技術と解剖学上の知識によって限定されるのみである。頭蓋仙骨の動きの速さ、振幅、対称性、性質、体全体へのその反射に注意を向けなさい。

| 筋膜とは | 11時14分 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑















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